離婚訴訟―高裁での本人尋問

 最近の高等裁判所での審理をみていると、一回結審等審理のスピード化が顕著な気がします。
 審理が迅速に行われること自体は良いのですが、問題はその内容です。
 控訴審では、第一審で行われる証人尋問が実施されることは稀と思われます。控訴審では、第一審の判決を高等裁判所の裁判官が再度検討しますが、証人尋問等の証拠調べをやり直すものではありません。そうすると、第一審の事実認定に引きずられ、事案の全体を見直すことがいわば例外的ともなりかねません。
 控訴する当事者としては、第一審の事実認定と法律判断のすべてを高裁の3人の裁判官によって見直して欲しいとの気持ちがあります。そこに、実務上のギャップを感じることがあります。
 今般、私達が遂行している離婚訴訟において、高等裁判所において双方の本人尋問が実施されることとなりました。第一審の事実認定や法律判断が、どのように見直されるのか否か、高裁の存在意義が試される事案とも考えられます。